ただし、扱うのが結構大変です。楽しいんですけど。
鑑賞用や衣装としてでは無く、実際に振り回して遊ぶ上でのインディタイプの鞭について、もう少し掘り下げて書いてみました。
劇中で使用されているインディ・ウィップ
インディが持ち歩いているのは10フィートのDavid Morgan 455(450シリーズ) 。アクションシーンで振り回しているのは殆どが6〜8フィートだと言うのはインディファンの間では有名な話です。1作目、カイロの路上でインディが鞭を鳴らして敵を威嚇するインパクトのあるシーン、通称 ”カイロ・フラッシュ” で使用されたのは453(8フィート)らしいです。
8 footer Indy style bullwhip made by Joe Strain.
David Morgan はインディシリーズを通して30本以上の鞭を映画プロダクションに納入したそうですが(※1)殆どが10、もしくは8フィートとの事です。(16フィートもスタント用に特別製作したとの事)
450シリーズはモデルチェンジを繰り返す度に太く重く、頑丈になっています。
4作目で使用された鞭はオーストラリアのTerry Jacka製です。Terry Jackaの鞭は世界的に有名なアクションコーディネーターのデロンギスにも愛用されており、その筋では非常に人気が高いウィップメーカーです。
映画仕様の鞭はトランジット・エリアの長さが4インチに設定され、非常に硬く補強されておりオーストレリアン・ブルウィップに近い性質があるそうです。
インディ・ウィップの振り心地・特徴
インディ・ウィップの振り心地は(個人的な感想ですが)、スローペースでのんびりクラッキングしたり、丈夫さを活かして派手にターゲットに当てたり(※1)巻きつけたり、スタントやサーカス的な使い方をするなら扱い易いと思います。一方で高速・複雑なクラッキングをするのは難しいです。
中にはやってしまう人もいますが、例えば私は身長173cmで平均的な体型、痩せですが、「高速で鳴らし続ける今風のクラッキング」をインディ・ウィップでやろうとすると結構大変です。
ずっしりと重く頑丈な作りがインディ・ウィップの特徴なので、複雑な技や高速クラックに挑戦するならストックウィップやナイロン鞭を使う方が良いと思います。
(※1)ターゲットに当てるのはクラッカー、フォールまで。鞭の編んである部分は当てません。
それと普段から身体を確り鍛えている人からも、私が持っているインディ・ウィップは「重くて振れない」と言われた事があります。実際に重いしバランスにとても個性がある為に、腕力に任せて振ろうとしても疲れるし、最悪身体を痛めてしまうのでブルウィップ本来の独特の振り方で振る必要があります。
端的に言うと身体の中心を軸にして振るのです。身体の中心軸で振る、と言うべきか。腕だけで振ろうとすると肩が軸になるので肩や肘を痛めるのです。個人的な感想ですが、特に初心者にとってインディ鞭は振りやすいとは思いません。
インディ(アメリカン)タイプのブルウィップを ”振って遊ぶ” 為に入手するなら鞭の特性を少しだけ予習しておくと、より楽しめると思います。
もちろん、確り作られた鞭は凄い威力が出るので扱う際は周囲への厳重な注意が必須です。
注意することはある
現在は日本国内でも ”ウィップクラッキング” が広まっており、その練習会などで鞭を振る知識や技術を学ぶ機会には困らないと思います。ただし日本人向け、及び屋内向けに設計された軽量かつ短めの鞭を振る為の専用フォーム。そのままのフォームでインディ鞭を振るのは難しいと思います。重量(質量)や長さが全く違うので根本的なフォームや身体の使い方を変えざるを得ないのです。筋トレとかそっちではなくフォームと身体の使い方です。
「重くて振れない、肩や肘を痛めた、だからインディ鞭は良くない鞭だ、海外の鞭は良くない鞭だ、日本人には向かない。だから日本人に合った鞭を使いましょう、インディ鞭なんて駄目です」
そんなん聞かされると、うんざりですよね。方法はあるのです。
本格的なインディ鞭をせっかく入手するなら、クラッキングやターゲティングを練習するのも楽しいですよ。
※若い頃のインディが初めて鞭を振った時のあれ、 ライオンを威嚇する時のあの振り方は本当に危ないです。
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(※1)David Morgan / About Indy Whip
https://www.davidmorgan.com/shop/category/7_187_192_203/leather-goods/braided-goods/whips/indiana-jones-whips/